三宝院沙門

こんにちは。人生100年時代の心と身体とお部屋をゴエスする「マインドフルネス実践講座」コーチ、特別な一日日本代表ゲンキポリタンあなたの願いを実らせるNaoman-Minoruです。

あなたの願いを叶えるために、まずあなたの邪魔をしているあなたのメカニズムをご説明します。大丈夫、見えない心の傷あとへの千里眼で注意深くあなたを守ります。

今回は潜在意識にあるといわれる根本心「阿頼耶識（あらやしき）」「末那識（まなしき）」について説明します。「阿頼耶識（あらやしき）」「末那識（まなしき）」は潜在意識にあるので気づくことが困難ですが、顕在意識と交信を続けていて、自分の思考を押しのけて意志に反した行動に導きます。「なんであんなことを・・・」と思っても後のまつり。典型的な事例が「好き避け」です。ここでは深層心にある阿頼耶識・末那識が突き上げるメカニズムと書き換える密教の聖なる呪文について説明します。

三宝院沙門

これらの仕組みを知っていただくだけで自分がどうなっているのか、理解していただけると思います。

仏教のはじまり
受け継がれる初期仏教の教え
密教の特徴
阿頼耶識（あらやしき）
阿頼耶識は可能性の宝庫
末那識（まなしき）
阿頼耶識縁起
「虚空蔵求聞持法』で潜在意識を顕在化する
まとめ

仏教のはじまり

仏教は、古代インド東部地域（現在のインドのビハール州およびその周辺）の王国マガダ国（Magadha）で興った哲学、あるいは宗教で、ゴータマ・シッダールタ（お釈迦さま・ブッダ）の教えを基にしており、その教えは紀元前6世紀から現在にまで至り世界中に広がっています。

ゴータマ・シッダールタが入滅されたあとは、約100年後、上座部仏教と大乗仏教に根本分裂しました。時間がたつにつれ、大乗仏教はその後もいくつもの部派に分かれ、7世紀に中国（唐）の玄奘三蔵法師がインドに渡った頃には約半数の僧が大乗仏教の僧であったといいます。

受け継がれる初期仏教の教え

玄奘がインドから唐に持ち帰った経典「唯識」は大乗仏教の見解の一つ「瑜伽行唯識学派」のものであり、玄奘はその翻訳に生涯を投じたといいます。瑜伽行唯識学派が打ち立てた理論は、個人、個人にとってのあらゆる諸存在が、唯（ただ）、八種類の識によって成り立っているというものでした。即ち、それら諸存在は「空」であり、実体のないものである（諸法空相）という教えで、般若心経の基になっています。

無著・世親の兄弟僧によって法相教学として確立した「唯識」の教えは、フロイトにも受け継がれ無意識の原点になりました。

日本では奈良・興福寺が法相教学（法相宗）の寺院として法灯を護持しています。その根本教義が「唯識」にあるので、古くは唯識衆(宗)、あるいは法相唯識を宣揚した唐の基(後の慈恩大師)の名をとって、慈恩宗・慈恩教とも呼ばれました。唯識の特徴は「無分別智（むふんべっち）」「八識（はっしき）」にあり、政治的な理由による仏教の衰退、ヒンドゥー教の台頭の情勢から誕生した密教に影響を与えています。

密教の特徴

密教（みっきょう）は、政治的支援が弱まった仏教に代わりヒンドゥー教が主流であったインドの地で、5世紀ごろから始まった大乗仏教のひとつです。 その歴史は5世紀から12世紀ごろまで、ルーツに瑜伽行唯識学派の巡回修行者の集団があり、経典が書かれた時期の違いから初期、中期、後期に大きく分けることができます。
唐から空海が持ち帰った密教は中期密教にあたります。
密教は、マントラ(真言)、ダーラニー(陀羅尼)、ムドラー(印相)、マンダラ(曼荼羅)と呼ばれる神や仏陀の視覚化などの新しい実践法を行い、タントラと呼ばれる新しい文章表記を発展させた点が特徴的です。大乗仏教の流れの一つですが、顕教，すなわち広く民衆に向かって開かれ，その世界観を明瞭な言葉で説く通常の仏教に対し，密教は自己を非公開的な教団の内に閉鎖し，秘密の教義と儀礼を師資相承によって伝持しようとする秘密仏教をいい，象徴主義的儀礼ないし観修法によって宗教としての理想を達成しようとする点に特徴があり、以下のような特徴があります。

阿闍梨（あじゃり）
即身成仏（そくしんじょうぶつ）
三密加持（さんみつかじ）
真言（しんごん）
梵字（ぼんじ）
阿頼耶識（あらやしき）
阿字観（あじかん）
法具（ほうぐ）
護摩（ごま）
声明（しょうみょう）
灌頂（かんじょう）

この中から、唯識が説いた八識のひとつ「阿頼耶識」について説明します。

阿頼耶識（あらやしき）

阿頼耶識（あらやしき）は、通常は意識されることのない意識の最も深い部分、潜在意識の底の底にある根本心のことです。根本心である阿頼耶識には生きようとする本能と意志があります。

仏教（唯識）では人間の中に八識（8つの意識）があるとしています、八識とは、表層心（顕在意識）にある①眼識、②耳識、③鼻識、④舌識、⑤身識という前五識（５種類のセンサー）で得た情報をもとに⑥意識で思考します。そして深層心（潜在意識）にある⑦末那識と呼ばれる無意識の世界があり、さらに深層に「根本心」と定義される⑧阿頼耶識があります。⑦末那識と⑧阿頼耶識は、六識に影響しますが、無意識なので自覚できません。

①眼識、②耳識、③鼻識、④舌識、⑤身識、⑥意識、⑦末那識、⑧阿頼耶識の識とは「蔵」の意味です。個人存在の根幹にあって通常は我々が意識することのない識であり、仏教の瞑想は、この阿頼耶識にたどり着き、観察するために行われるともいわれています。

阿頼耶識は可能性の宝庫

阿頼耶識は、前五識・意識・末那識を生み出す根本であり、胎内にいるときから、自分が経験したすべてが記録され、蓄えてある、とてつもなく大きな「蔵」です。記憶され蓄えられた蔵というとノートや書籍のように「ある」というイメージを持たれるかもしれませんがそうではありません。人、物、事との関係性によって生起してきますが、固定されたものではなく時空の歪みで生じます。

阿頼耶識には過去に体験を通して、学んだこと、考えたことのすべてが、善悪の区別なく混在しており、人格、品性の基になっています。阿頼耶識をどう使うかは自分次第です。それが「阿頼耶識縁起」です。（後述）

末那識（まなしき）

末那識とは、自我に作用する己に対する執着心で、阿頼耶識（蔵）を対象にしている識です。
自己執着心はコントロールが難しい性質なものですが、日常的に阿頼耶識（蔵）を磨く習慣があれば、蔵は腐敗することなく熟成します。選択は自分次第なので、阿頼耶識・末那識に対する認識が道を分けます。

人は誰でも揺らぎながら進むものです。揺らぎながら阿頼耶識を磨き、末那識を克服しながら歴史に残る経営者になった人物がいます。アップルの創業者、スティーブ・ジョブズ氏です。
スティーブ・ジョブズは、生後すぐに養子に出され、養父母によって育てられました。その後、創造神・ユダヤ教・イスラム教・アニミズム・太陽神・ヒッピー文化などに触れ、自分探しを続けながら、禅に出会い曹洞宗の禅僧である鈴木俊隆と知野弘文を導師としてサンフランシスコで禅を学びアタリ社でキャリアをスタートさせます。ジョブズ氏は、Microsoftのビル・ゲイツ氏のようにプログラミングできたわけではないものの、自身の魂を模索するかのようにプロデューサー能力を発揮、画期的な製品を相次いで世に出し、自分の人生を変えるかのように世界を変えました。癌に冒されながらも、自分へのこだわりを世界へのこだわりに変えて、静かに56年の人生を閉じたのです。
阿頼耶識縁起（阿頼耶識を原因として事を起こす）の見事な実践者でした。

いまを生きることは、勝手気儘にいきることではなく、歯止めをかけるのが慈悲から生じた縁起であり、因果関係と万物相互依存の真実です。

阿頼耶識縁起

阿頼耶識・末那識は、唯識（仏教）から生まれた言葉ですが、その概念は心理学に継承されています。大事なことは、阿頼耶識は善悪の区別なく、あらゆる可能性の宝庫ですが「もの」ではありません。つまり阿頼耶識は、先述したようにノートや書籍のように「ある」のではなく縁起（＝原因があって生起する）によって「なる」のです。阿頼耶識縁起というように、関係性で可能性の扉は開きます。

末那識は、意識的であれ無意識的であれ、常に第8識の阿頼耶識を自身（我）であると執着し続ける、根底の自我意識のことです。一方、阿頼耶識は、善悪の業を蓄積しその果報としての苦楽のを生み出す源泉となる識であり、古来から続く「もともとのいのち」のことです。この生きたがっているいのちを即身成仏させるのが「密教の教え」ですから。